収益性、信頼性を最大限実現した太陽光発電所を作るために | 土地に関連する法律(2/3)
国土利用計画法について
わが国は、約38万平方キロメートルの国土(陸域)を有しており、
その中に1億2,000万人を超える人々が暮らしています。
この国土は、私たちにとって生活や生産の共通の基盤であり、
限られた共通の資源です。

国土利用計画法は、「国土利用計画の策定に関し必要な事項について定めるとともに、
土地利用基本計画の作成、土地取引の規制に関する措置その他土地利用を調整
するための措置を講ずることにより、国土形成計画法による措置と相まって、
総合的かつ計画的な国土の利用を図ること」を目的としており、(第1章 総則 第1条)
基本理念として、「国土が現在及び将来における国民のための限られた資源であ
るとともに、生活及び生産を通ずる諸活動の共通の基盤であることにかんがみ、
公共の福祉を優先させ、自然環境の保全を図りつつ、地域の自然的、社会的、
経済的及び文化的条件に配意して、健康で文化的な生活環境の確保と国土の均衡
ある発展を図ること」としています。(第1章 総則 第2条)
国土利用計画には以下の事項を定めることとなっています。
全国の区域について定める計画(全国計画)
都道府県の区域について定める計画(都道府県計画)
市町村の区域について定める計画(市町村計画)
■全国計画:
国土交通大臣が国土審議会、都道府県知事の意見聴取などを経て、
都道府県知事の意向が十分に反映されるように必要な措置を講じて案を作成し定めます。
尚、全国計画の案を作成するに当たって、国土利用の現況、及び将来の見通しに関する
調査を行い、環境保全に関する基本的政策に係るものについては、環境大臣と共同して
行うものです。
国土利用に関しては、この全国計画を基本としています。
(第2章 国土利用計画 第5~6条)
■都道府県計画:
全国計画を基本として都道府県の区域内における国土利用の方向を示すものです。
市町村長、各都道府県に設置された審議会等の意見を聴取したのち定められます。
(第2章 国土利用計画 第7条)
■市町村計画:
国土利用に関し必要な事項について市町村計画を定めることができます。
また都道府県計画を基本として市町村の区域内における国土利用の方向を示すものでもあります。
公聴会の開催などにより住民の意向を十分反映させるための措置を講じたうえで
定められます。(第2章 国土利用計画 第8条)
前述したように国土利用において国土交通大臣は、
土地利用基本計画を作成する必要がありますが、
これは「都市地域」、「農業地域」、「森林地域」、
「自然公園地域」、「自然保全地域」を定めるものです。
(第3章 土地利用基本計画等 第9条)
要するに国土に対し、合理的な土地利用が図られるように
バランスよくエリア分けしたものというふうに言えるでしょう。
よって、必然的に土地利用の規制に関する措置、
土地取引の規制・抑制、移転等に関する措置などが講じられます。
(第3章 土地利用基本計画等 第10条)
前述のように「都市地域」、「農業地域」、「森林地域」、
「自然公園地域」、「自然保全地域」というふうに
土地利用基本計画によって国土交通大臣が定めると言いましたが、
これらの地域も更に分類化されており、
その分類によって、土地利用・取引するにあたり、
許可申請・届出・勧告など手続き内容が変わってくるのです。
以下のように分類化されています。
■「規制区域」:
・都市計画法 第四条第二項 に規定する都市計画区域にあたり、
その全部又は一部の区域で土地の投機的取引が相当範囲にわたり
集中して行われ、又は行われるおそれがあり、及び地価が急激に
上昇し、又は上昇するおそれがあると認められる区域
・事態を緊急に除去しなければ適正かつ合理的な土地利用の確保が
著しく困難となると認められる区域
(第4章 土地に関する権利の移転等の許可 第12条)
■「注視区域」:
地価が一定の期間内に社会的経済的事情の変動に照らして相当な
程度を超えて上昇し、又は上昇するおそれがあるものとして国土
交通大臣が定める基準に該当し、これによつて適正かつ合理的な
土地利用の確保に支障を生ずるおそれがあると認められ、期間が
定められる区域
(第5章 土地に関する権利の移転等の届出 第27条の二)
■「監視区域」:
地価が急激に上昇し、又は上昇するおそれがあり、これによって
適正かつ合理的な土地利用の確保が困難となるおそれがあると認
められ、期間が定められる区域
(第5章 土地に関する権利の移転等の届出 第27条の六)
■「その他一般」:
遊休土地が該当します。
(第6章 遊休土地に関する措置)
土地の権利移転、又は取引を行う場合、
上記の各区域によって、許可基準等や手続き内容が若干変わってきますが、
基本的には対価と土地の利用目的・方法(直接的な土地の利用区分)等の
必要事項を記載した届出書を、市町村を経由して都道府県知事に提出する
必要があります。
最悪のケースとして、届出を怠り、都道府県知事の許可を受けないで
土地売買等の契約を締結した者は、3年以下の懲役又は200万円以下の
罰金に処されます。(第9章 罰則)
太陽光発電所設置工事に伴い、この法律についても
十分に理解しておく必要があります。
次回は「土壌汚染対策法」について御紹介致します。